「IBMのLinux戦略」はIBNがどのようなスタンスでLinuxに対応しているかを詳細に解説したものだ。ハードウェア、ソフトウェア、サポート&サービスとったレベルでの他に、基幹連携システムやサーバ統合といったソリューションでの応用、コミュニティとの連携などが解説されている。
恥ずかしい事に、私は今までLinuxの価値が一体どこにあるのか明確につかめないでいた。確かにインターネット全体の流れを見ればLinuxが非常に大きいトレンドだという事もわかるしCNET Japanで連載されている梅田さんのBlogを読むと「なるほど」と思うことも良くある。
しかし、残念ながら一般企業はAmazonやYahoo!のような「インターネットアプリケーション」を提供している企業でもないし、Googleのよう理系の博士がゴロ々いるような企業でもない。サーバやホストは現在の業務を「支援」するためのものだ、それをLinuxに変えたからといって何が変わるというのだろう?
少し前ならば「コスト削減」というのがキーワードになっていたと思う。しかし、最近ではLinuxだけで「コスト削減」を実現するのはどうも難しいらしい。例えば、「Open Sourceシステム導入マニュアル」は「仮にOSのコストがゼロになったとしても、単純計算してTCOへの影響は3%程度」と解説してるし、Linuxの最大のライバルとも言えるMicrosoftは「WindowsはLinuxより低コスト」と発表している。
では、将来的なことはともかくとして、現段階で一般の企業がLinuxを導入するメリットは一体どこにあるのだろう。本書はIBMのLinuxについての取り組みと同時にその答えも用意してくれた。答えの核となるのは「仮想化」だ。
本書では、まず「ITの最も重要なリソースはアプリケーションとデータである」とし、一方で「ハードウェアの進化が目覚ましく、その進化のためには互換性を犠牲にする」こともあり、「アプリケーションとハードのこの矛盾した流れの中で、双方の折り合いをどうつけていくか」が問題とされてきた、としている。従来ならばこの「矛盾」は簡単には解決できなかった。
そこで登場してきたのがLinuxだ。IBMはLinuxを「幅広いCPUに対応したポータブルなOS」とし、異なるハードウェアをOSレベルでラッピングする「仮想化技術」の1つと位置づけている。そしてIBMはLinuxという「仮想化技術」を手に入れたことによって既存のデータ/アプリケーションとの互換性/相互運用性を守りつつ、先進ハードウェア技術の将来性を保証するソリューションを展開できるのだ。
もちろん本書は「Linux=仮想化」ということを単純に言うだけではない。この後にIBMのソフトウェアとLinuxの連動や、IBMがオープンソースに果たしている役割、そしてIBMが提唱している「eビジネス・オンデマンド」を解説している。詳しい内容は本書に譲るが「eビジネス・オンデマンド」の解説を読む時にLinuxを「仮想化技術」「オープン仕様」と置き換えると、非常にわかりやすくなると思う。
個人的に本書はLinuxを考える上で非常に参考になったが、欲を言えばLinuxだけでなく、他のオープンソースソフトウェアについての取り組みも欲しかった。Eclipseへの取り組みや、DB2を持っているIBMが今後PostgreSQLやMySQLとどのように接していくかは気になる方も多いと思う。もし、次作があるのであれば、ぜひとも他のオープンソースソフトウェアについても解説してもらいたいと思う。
恥ずかしい事に、私は今までLinuxの価値が一体どこにあるのか明確につかめないでいた。確かにインターネット全体の流れを見ればLinuxが非常に大きいトレンドだという事もわかるしCNET Japanで連載されている梅田さんのBlogを読むと「なるほど」と思うことも良くある。
しかし、残念ながら一般企業はAmazonやYahoo!のような「インターネットアプリケーション」を提供している企業でもないし、Googleのよう理系の博士がゴロ々いるような企業でもない。サーバやホストは現在の業務を「支援」するためのものだ、それをLinuxに変えたからといって何が変わるというのだろう?
少し前ならば「コスト削減」というのがキーワードになっていたと思う。しかし、最近ではLinuxだけで「コスト削減」を実現するのはどうも難しいらしい。例えば、「Open Sourceシステム導入マニュアル」は「仮にOSのコストがゼロになったとしても、単純計算してTCOへの影響は3%程度」と解説してるし、Linuxの最大のライバルとも言えるMicrosoftは「WindowsはLinuxより低コスト」と発表している。
では、将来的なことはともかくとして、現段階で一般の企業がLinuxを導入するメリットは一体どこにあるのだろう。本書はIBMのLinuxについての取り組みと同時にその答えも用意してくれた。答えの核となるのは「仮想化」だ。
本書では、まず「ITの最も重要なリソースはアプリケーションとデータである」とし、一方で「ハードウェアの進化が目覚ましく、その進化のためには互換性を犠牲にする」こともあり、「アプリケーションとハードのこの矛盾した流れの中で、双方の折り合いをどうつけていくか」が問題とされてきた、としている。従来ならばこの「矛盾」は簡単には解決できなかった。
そこで登場してきたのがLinuxだ。IBMはLinuxを「幅広いCPUに対応したポータブルなOS」とし、異なるハードウェアをOSレベルでラッピングする「仮想化技術」の1つと位置づけている。そしてIBMはLinuxという「仮想化技術」を手に入れたことによって既存のデータ/アプリケーションとの互換性/相互運用性を守りつつ、先進ハードウェア技術の将来性を保証するソリューションを展開できるのだ。
もちろん本書は「Linux=仮想化」ということを単純に言うだけではない。この後にIBMのソフトウェアとLinuxの連動や、IBMがオープンソースに果たしている役割、そしてIBMが提唱している「eビジネス・オンデマンド」を解説している。詳しい内容は本書に譲るが「eビジネス・オンデマンド」の解説を読む時にLinuxを「仮想化技術」「オープン仕様」と置き換えると、非常にわかりやすくなると思う。
個人的に本書はLinuxを考える上で非常に参考になったが、欲を言えばLinuxだけでなく、他のオープンソースソフトウェアについての取り組みも欲しかった。Eclipseへの取り組みや、DB2を持っているIBMが今後PostgreSQLやMySQLとどのように接していくかは気になる方も多いと思う。もし、次作があるのであれば、ぜひとも他のオープンソースソフトウェアについても解説してもらいたいと思う。
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by kozai22
| 2004-02-25 21:54
| 本