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ダブルスラッシュに関連した雑記


by kozai22
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読書感想:IBMのLinux戦略

 「IBMのLinux戦略」はIBNがどのようなスタンスでLinuxに対応しているかを詳細に解説したものだ。ハードウェア、ソフトウェア、サポート&サービスとったレベルでの他に、基幹連携システムやサーバ統合といったソリューションでの応用、コミュニティとの連携などが解説されている。

 恥ずかしい事に、私は今までLinuxの価値が一体どこにあるのか明確につかめないでいた。確かにインターネット全体の流れを見ればLinuxが非常に大きいトレンドだという事もわかるしCNET Japanで連載されている梅田さんのBlogを読むと「なるほど」と思うことも良くある。

 しかし、残念ながら一般企業はAmazonやYahoo!のような「インターネットアプリケーション」を提供している企業でもないし、Googleのよう理系の博士がゴロ々いるような企業でもない。サーバやホストは現在の業務を「支援」するためのものだ、それをLinuxに変えたからといって何が変わるというのだろう?

 少し前ならば「コスト削減」というのがキーワードになっていたと思う。しかし、最近ではLinuxだけで「コスト削減」を実現するのはどうも難しいらしい。例えば、「Open Sourceシステム導入マニュアル」は「仮にOSのコストがゼロになったとしても、単純計算してTCOへの影響は3%程度」と解説してるし、Linuxの最大のライバルとも言えるMicrosoftは「WindowsはLinuxより低コスト」と発表している。


 では、将来的なことはともかくとして、現段階で一般の企業がLinuxを導入するメリットは一体どこにあるのだろう。本書はIBMのLinuxについての取り組みと同時にその答えも用意してくれた。答えの核となるのは「仮想化」だ。

 本書では、まず「ITの最も重要なリソースはアプリケーションとデータである」とし、一方で「ハードウェアの進化が目覚ましく、その進化のためには互換性を犠牲にする」こともあり、「アプリケーションとハードのこの矛盾した流れの中で、双方の折り合いをどうつけていくか」が問題とされてきた、としている。従来ならばこの「矛盾」は簡単には解決できなかった。

 そこで登場してきたのがLinuxだ。IBMはLinuxを「幅広いCPUに対応したポータブルなOS」とし、異なるハードウェアをOSレベルでラッピングする「仮想化技術」の1つと位置づけている。そしてIBMはLinuxという「仮想化技術」を手に入れたことによって既存のデータ/アプリケーションとの互換性/相互運用性を守りつつ、先進ハードウェア技術の将来性を保証するソリューションを展開できるのだ。

 もちろん本書は「Linux=仮想化」ということを単純に言うだけではない。この後にIBMのソフトウェアとLinuxの連動や、IBMがオープンソースに果たしている役割、そしてIBMが提唱している「eビジネス・オンデマンド」を解説している。詳しい内容は本書に譲るが「eビジネス・オンデマンド」の解説を読む時にLinuxを「仮想化技術」「オープン仕様」と置き換えると、非常にわかりやすくなると思う。

 個人的に本書はLinuxを考える上で非常に参考になったが、欲を言えばLinuxだけでなく、他のオープンソースソフトウェアについての取り組みも欲しかった。Eclipseへの取り組みや、DB2を持っているIBMが今後PostgreSQLやMySQLとどのように接していくかは気になる方も多いと思う。もし、次作があるのであれば、ぜひとも他のオープンソースソフトウェアについても解説してもらいたいと思う。
# by kozai22 | 2004-02-25 21:54 |
 ご存じの通りP2P技術を使ったファイル交換ソフトによって、ISPの上りトラフィックが圧迫されており、いくつかのISPは公式にファイル交換ソフトの制限に乗り出している。このファイル交換ソフトが引き起こす「帯域」の問題は日本だけでなく世界中で大問題になっており、ルータメーカもP2P技術を使ったファイル交換ソフトの帯域制御装置に注力した製品を販売しようとしている。これからもファイル交換ソフトの帯域制御に特化した製品の販売や、ISP側のファイル交換の抑制を発表する機会も増えていくだろう。

 しかし、ISPの中にはファイル交換を「抑制」するのではなく、むしろファイルを「拡散」させようとする動きがある。これはファイル交換で人気あるファイルキャッシュして、ネットワークのトラフィックを軽減しようというのだ。

 もちろん、この方法にはファイル交換とは切っても切れないもう一つの問題。すなわち「著作権」との問題が出てくる。ところがISPやファイル交換業者の中には「著作権」の問題も解決しようとしている団体がある。例えば、イギリスのISPの中にはレコード業界に対して音楽使用料を支払う代わりに、合意しているレコード会社の楽曲を自由に交換できる。

 ISPが利用者から料金を徴収しそれを著作権の業界団体に分配することでファイル交換自体を「合法」にしてしまえば、ファイル交換利用者は捕まらないし、著作権者に料金が支払われる、さらにネットワークの負荷も自分のネットワークにファイルをキャッシュできる。一見すると非常に良い案に見えるがこの方法を採用すると様々な問題が出てくる。

 まずは著作権者の1人々に正当な料金を払うのが難しい点があるということだ。広大なファイル交換網の中である特定の著作権者の作品が、どのくらい「流通」しているかを正確に特定するのは難しいのではないかと思う。そんな状況で著作権者1人々に正当な料金を払うのはさらに難しいだろう。

 2点目として、ファイル交換ネットワークで「流通」しているファイルは音楽ファイルだけではないということだ。ファイル交換ネットワークには映画やテレビを録画した動画データをはじめ、マンガや写真集をスキャンしたデータなど様々なデータが「流通」している。つまり、料金を支払うのは「音楽業界」だけではないということだ。当然ISP側が支払う料金もそれによって我々がISPに払う料金も増えていくだろう。また、著作権団体によってはファイル交換での「流通」をどうしても許さない所も出てくるだろう。そうなれば、どのデータがファイル交換が許されているかを利用者側で把握しなければならない。

 3点目として、もしファイル交換が完全に「合法」になってしまえば、ファイル交換を利用するユーザは一気に増大するだろう。そうなれば、今以上に上がりの送信トラフィックが増えることになる。現状でもISPによっては現状でも既に厳しいのに、今以上のトラフィックに耐えられるのか難しいところだろう。

 日本では、このような「ISPが著作権料を徴収する」という提案は出てきていないが、今後はこのような意見も出てくると思う。しかし、ISPが料金を支払うだけでは簡単には問題は解決しないだろう。

[参考リンク]

レコード業界に音楽使用料を支払う世界初のブロードバンドISPが英国に
impress
ISP加入者はPtoPサービス利用料を支払うべきか
CNET Japan
P2Pトラフィック軽減ソフトに「海賊行為関与」の懸念
ITmedia
# by kozai22 | 2004-02-24 20:23 | P2P
 昨日友人と話していて「どうして任天堂はオンラインゲームに対してあまり積極的ではないのか?」という事について少し話し合った。個人的には任天堂のゲームは非常にネットワークゲームと相性が良いと思う。素人考えだが「どうぶつの森」のようなオンラインゲームに近いゲームもあるし、ゲームボーイアドバンスでの対戦ゲームはそのままオンラインで展開しても十分に面白いと思っているからだ。ところが友人氏は2つの理由から「任天堂はできるだけオンラインから離れていたいのだ」と言う。

 まず1点目は任天堂のゲームで遊んでいるユーザとオンラインゲームでのユーザの年齢のギャップだ。オンラインの仮想国に住んでいるプレイヤーと、ゲームボーイアドバンスでポケモンの交換をしているプレイヤーとではかなり年齢が離れている。このことは様々な問題が出てくる事が予想される。保護者としては自分の子供が現実世界でも「仮想世界」でも知らない人から声をかけられるのはあまり気分の良いものではないだろう。

 そして2点目としてオンラインゲームを開始してしまうと、任天堂の強みであるプラットフォームの価値が急激に下がってしまうからだ。当然のことだが、現状では任天堂のゲームキューブ用のゲームはソニーのプレイステーション2では動かないし、パソコンでも動かない。

 しかし、オンラインゲームの場合はどのようなプラットフォームであれ、オンラインになってしまえばゲームが動いてしまう。つまり、オンラインに対応したゲームがマルチプラットフォームで多数登場してしまうと優れたゲームをプラットフォームで囲い込めなくなってしまう。

 もちろん、オンラインに対応していないゲームでも、プラットフォームを越えて発売しているゲームはたくさんある。しかし、オンラインゲームの場合は単独でゲームが起動するのでなく、ネットワーク経由でゲームが起動できてしまう。もしネットワークゲームとゲーム配信を行うメーカのポータルが組合わされば、別にCD-ROMやDVDなどを使わずともゲームを配信できるようになる。それはメーカが独自でプラットフォームをすり抜けて自由にゲームを配信できるようになることを意味する。

 そうなれば、メーカが独自に配信したネットワークゲームがゲームのプラットフォームの「仮想化」を実現してしまうと言っても良いだろう。なぜならば、それらのゲームはネットワークにつながるハードさえあれば遊ぶことができるようになるからだ。これはプラットフォームを使ってユーザとゲームメーカを囲い込んできた任天堂のようなメーカにとっては大問題となる。

 ここまで聞いて「なるほど」と思い、この話はそこで終わってしまったのだが「ではなぜSCEやMicrosoftはネットワークゲームに注力しているのか?」という事を聞くのを忘れてしまった。これは友人には聞いていないので私の個人的な考えなのだが、恐らくSCEやMicrosoftはネットワーク上でも当分の間はプラットフォームを維持できると考えているのだと思う。SCEやMicrosoftはゲームメーカとユーザに集客力のあるポータル、課金システム、使いやすいハードを提供することで、ゲームメーカが勝手にプラットフォームを「仮想化」しないように交渉しているのではないかと思う。

 オンラインゲームはまだ始まったばかりであり、オンラインゲームの行く先はまだ不透明なところが多い。任天堂やSECのようなプラットフォームを提供しているメーカが主導権を握るか、それともスクエア・エニックス、ナムコのような純粋なゲームメーカが主導権を握るか、まだわからないが、いずれにしてもオンラインゲームによってプラットフォームメーカだけがゲームを「独占」するのは難しいだろう。
# by kozai22 | 2004-02-23 20:12 | IT全般
 先日発表された「One Point Wall」がWinnyの暗号を解析しトラフィックをブロックできるようになったことは、一部のネットユーザに衝撃が走ったと思う。これでまた一つWinnyの「神話」が崩れたことになる。

 ネット上の議論を見てみるとISPがこれを導入した影響を心配する声がいくつかある。実際に「One Point Wall」は「ISPライセンス(10000デバイス単位)」というものも存在している。「価格等は別途お問い合わせください」という
ことからISP用には特別な割引があるのだろう。

 とはいえ現状のISPがすぐにこれの導入を「公表」することは考えづらい。理由の一つとしてwe all DOWNLOADの612氏が発言している通り「Winnyの起動自体が犯罪というわけではないし、仮にWinnyがバージョンアップしたり、『Winnyの次』が現れるであろうことを考慮すると、Winnyだけをブロックしてもあまり意味がない」からであり「ISPが利用者の情報を公開するにはWinnyの使用自体が違法とされる前提が必要と思われ」るからだ。このことからもわかる通り、この製品が「企業・学校」をターゲットとした製品であることは間違いがないだろう。では、なぜ企業や学校がこのようなフィルタリングツールが必要なのだろうか。もちろん社内資源の有効活用という面もあるだろうが、ウィルスと著作権団体のための自己防衛ツールという面もあるだろう。

 ご存じの通り、コンピュータウィルスが広がる経路はメールだけでは無い。Winnyを媒介として感染を広げるウィルスは既に登場しているし、KaZaAを媒介としてウィルスも増えてきている。さらに、社内の機密情報などが入ったファイルをうっかり「共有フォルダ」に入れてしまう可能性もある。ネットワーク管理者にとっては、ファイル交換のためにウィルスが入り込んだり機密情報が漏れる隙間を広げるのはあまり好ましいこととは思わないだろう。

 また、このようなフィルタリングツールは著作権団体からの「攻撃」を防ぐのにも役立つかもしれない。(これを読んでいるあなたの会社ではそんなことはないと思うが)いくつかの会社では、なぜか社内ネットワークに公開前の「マトリックス レボリューションズ」の動画ファイルが3~4本もあったり、社内で「神」と呼ばれている人がいるらしい。ここから先はいち々説明しないが、著作権団体にとって彼らが絶好のカモであることは間違いがないだろう。

 ちなみに、知的財産権に厳しいある会社では既に社員の音楽ファイル交換を禁止している。
# by kozai22 | 2004-02-21 22:30 | P2P
 昨日、「Java Technology Conference 2004」の中で開かれた「JXTAの動向およびP2Pの将来」に参加してきた。最近になって再び盛り上がってきた「JXTA」。その動向がどのようになっているか知りたい方も多いだろう。

 ありがたいことに、「Java in the Box」の櫻庭 祐一氏が「JTC 2004 2 日目のレポート」の中で「JXTA の動向および P2P の将来」の様子をレポートされている。JXTAに興味を持たれている方には非常に参考になるだろう。また、このレポートには触れられていないが、このBOFセッションの最後で櫻庭氏も自身のJXTAツールについての発表をされた。

ps:本来であるならば、私もレポートを書くべきなのだが、体調を崩してしまいニュースをまとめるだけで精一杯だ。今日はこの辺で許して欲しい。
# by kozai22 | 2004-02-20 20:08 | P2P