ダブルスラッシュに関連した雑記


by kozai22
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言葉の定義を直すのは難しい。グリッドの場合。

 「『ハッカー』と『クラッカー』の違いは?」と聞かれればコンピュータをある程度使っている方なら答えられるだろう。「ハッカー」はコンピュータ技術に精通した人々に対する尊称であり、「クラッカー」は、悪意をもって他人のコンピュータのデータやプログラムを盗み見たり、改ざん・破壊などを行なう人間のことを指している。

 ところが現在では「ハッカー」という言葉は「クラッカー」の意味で使われることが多い。一般の新聞はもちろん、最近ではIT系のニュースサイトでも「ハッカー」という言葉を「クラッカー」の意味で使っていることが多い。少し前ならば「それを言うなら『クラッカー』だ」と注意してくれるパワーユーザがおり、彼らが「正しいコンピュータ用語」を教えてくれたものだが、最近ではそのようなパワーユーザの姿も見かけなくなり、「ハッカー」という言葉は誤用されたまま普及してしまった。

 「ハッカー」に限られずコンピュータ関連の用語はわかりにくい所があり、しば々誤用されたまま言葉の「定義」が普及する場合がある。「ハッカー」のような言葉はそうでもないが、技術的な言葉などは言葉のイメージや用法が間違って広がってしまうと、その技術を広めようとしている団体や企業にとっては困ったことになる。そこで、その技術を普及させようとしている企業や団体はメディア等を使って「誤った用法」を直し「正しい用法」を教えようとする。

 最近では「グリッド」という言葉の「定義」を巡って多少の混乱があるようだ。最近までグリッドを説明する際にはSETI@HOMEなどの分散コンピューティングを例に語られることが多く「多数の遊休PCをつないで作るスーパコンピュータ」と説明されてきたと思う。しかし、最近のメディアにでている「グリッド関係者」の説明を読むと、どうも「グリッド=スーパーコンピュータ、SETI@HOME」という考えは「誤解」だったらしく、最近のグリッド解説記事では「SETI@HOME(のような例)だけがグリッドでは無い」という説明がしば々見られるようになった。「それではグリッドとは何なのか?と言えば、どうも色々な人達が色々の言葉で説明するので一言で説明できる言葉を見つけるのは難しいのだが、どうやら「社内外のコンピュータリソースの仮想化自律化を実現する技術」という点では一致しているような感がある。

 グリッドが「スパコン構築ツール」から「仮想化を実現するツール」と代わりはじめたのは、純粋に技術的な観点もあるだろうが、個人的にはマーケティング的な側面もあると思う。残念ながら多くの企業は「たんぱく質解析」や「宇宙人探し」にはあまり興味がない、それよりも社内の計算資源を偏り無く運用するツールの方が求められている。グリッドがこのまま「たんぱく質解や析宇宙人探しのためのスパコン」になってしまうと、出てくるはずのお金も出てこなくなる。それよりも現在の「仮想化、自律化」のブームに乗ってしまう方が得策、という考えが出てきても不思議ではない。

 グリッドという言葉は、ハッカーのように一般には広まってないし、ITに関心がある層にしか広まっていない言葉だ。言葉の「定義修正」はまだ間に合うだろう。
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by kozai22 | 2004-02-11 11:07 | P2P